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2025年4月3日
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RSウイルス感染症について

RSウイルス感染症は、鼻水、のどの痛み、咳、喘鳴、呼吸困難などを引き起こす感染症で、2歳までにほぼ全ての乳児が感染します。一度感染しても再感染し、生後1か月未満での感染は突然死のリスクがあり、1歳未満の子どもにおいては、RSウイルスの方がインフルエンザウイルスよりも死亡リスクが高いという報告もあります。肺や心臓に病気がある子どもは特に重症化しやすいですが、健康な子どもでも重症化することがあります。RSウイルスに感染した2歳未満の子どもの約半数が気管支炎を発症し、25%が入院を必要とするとの報告があります。

RSウイルス感染症には特効薬がありません。2002年から、重症化リスクの高い子どもにはパリビズマブという抗体製剤が使用されてきましたが、効果が1か月間であり、流行期間中は毎月接種が必要でした。また、近年、RSウイルスの流行時期が春~夏へ移行し、接種のタイミングが難しくなっています。そのような状況の中、2023年、2024年に妊婦や高齢者向けのRSウイルスワクチン、ならびに今回の研究で使用する新たな抗体製剤「ニルセビマブ」が承認されました。

ニルセビマブについて

2024年3月に、日本で承認された「ニルセビマブ」は、RSウイルス感染症による気管支炎や肺炎の発症を予防する抗体製剤で、パリビズマブよりも長期間効果が持続します。「ニルセビマブ」はすでに諸外国で広く使用され、日本でももともと病気のある子どもに対して使用されています。病気のない健康な子どもにも使用が可能ですが、健康保険が使えず、高額な費用がかかるため、あまり使用されていません。また、これまでの研究で「ニルセビマブ」の安全性に問題がないことが示されています。

SYMPHONIE projectについて

SYMPHONIE projectは、三重県の1歳未満の子どもを対象に、広く「ニルセビマブ」を接種し、RSウイルス感染症の流行の変化を観察する研究です。あわせて「ニルセビマブ」の副作用を観察し、安全性を確認することで、健康な子どもへの健康保険適用の拡大を目指しています。

SYMPHONIE projectは三重県医師会、三重県小児科医会、三重大学小児科、三重大学産婦人科、三重大学公衆衛生・産業医学・実地疫学分野、三重病院が共同で実施しています。

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